マニュアル更新のたびに翻訳費用がかさむ?Tradosの翻訳メモリで解決できる理由
製品マニュアルの翻訳を外注しているご担当者様から、こんなお声をよくいただきます。

「毎回ほぼ同じ内容なのに、また同じ費用がかかるの?」

製品のバージョンアップや仕様変更のたびにマニュアルの改訂が発生し、その都度まとまった翻訳費用が生じるのは、製造業・工業機器メーカーの担当者にとって頭の痛い問題です。

実は、この問題には明確な解決策があります。翻訳支援ツール「Trados(トラドス)」の「翻訳メモリ」機能を活用することで、2回目以降の翻訳コストを大幅に削減できます。

この記事では、翻訳メモリの仕組みと、具体的にどのくらいコストが下がるのかをわかりやすく解説します。

翻訳メモリとは何か
翻訳メモリ(Translation Memory、略称TM)とは、「一度翻訳した原文と訳文のペアをデータベースとして蓄積する仕組み」です。

Tradosはこのデータベースを参照しながら翻訳を進めます。新しい原文が登場したとき、過去に翻訳した文と同じ、または似ている部分があれば、自動的に候補を提示してくれます。翻訳者は一から訳す必要がなくなり、確認・修正だけで済むようになります。

マニュアル翻訳との相性が特に良い理由
マニュアル・取扱説明書は、翻訳メモリとの相性が抜群に良いジャンルです。その理由は2つあります。

1. 定型文・繰り返しが非常に多い

安全上の注意書き、操作手順の書き出し、警告文など、マニュアルには同じ表現が何度も登場します。翻訳メモリはこれらを自動的に流用するため、作業量が大幅に減ります。

2. 改訂時に変わる部分が限られている

製品バージョンアップの際、マニュアル全体が書き換わることはほとんどありません。変更箇所は仕様変更部分や新機能の説明など、全体の一部です。翻訳メモリを使えば、変更のなかった部分は翻訳済みデータを自動流用し、新規翻訳が必要な箇所だけに費用が発生します。

実際にどのくらいコストが下がるのか
初回は通常通りの費用がかかります。しかし2回目以降は、メモリの一致率に応じて費用が大きく変わります。

一致の種類 内容 費用の目安
完全一致(100%) 前回と一字一句同じ文 通常の10〜30%程度
高一致(75〜99%) 一部だけ変わっている文 通常の50〜70%程度
新規翻訳(74%以下) 全く新しい文 通常の100%
たとえば、製品X1のマニュアルをTradosで翻訳し、翻訳メモリを蓄積した後、後継機X2のマニュアルを翻訳するとします。内容の8割が変更なしであれば、費用が発生するのは残りの2割の新規部分のみです。X3になるとさらに高い流用率が期待できます。

Tradosのメーカーであるアールダブリュエス(RWS)は、翻訳メモリの活用により翻訳生産性が最大80%向上するとしています。長期的に見ると、翻訳メモリへの投資は確実に回収できます。

翻訳メモリが生み出す「もう一つの価値」:用語の統一
コスト削減だけでなく、品質面でも翻訳メモリは大きな効果を発揮します。

マニュアル翻訳でよく起きる問題の一つが「用語のブレ」です。たとえば「電源スイッチ」が、ある箇所では “power switch”、別の箇所では “power button” と訳されてしまう、あるいは翻訳者が変わるたびに表現が変わってしまうといったケースです。

翻訳メモリには専用の用語集(Termbase)も組み合わせることができ、自社製品固有の用語や表記ルールをデータベース化して一元管理できます。これにより、担当翻訳者が変わっても、常に統一された表現を維持することができます。

翻訳メモリを活用するために必要なこと
翻訳メモリの効果を最大化するには、Trados対応の翻訳会社に継続して依頼することが前提になります。翻訳メモリは蓄積すればするほど価値が増す「翻訳資産」です。依頼先を変えるたびにメモリが引き継がれない状況では、この仕組みのメリットを享受できません。

また、翻訳メモリのデータは発注者側の資産として管理することが理想的です。翻訳会社と契約を結ぶ際には、翻訳メモリの所有権と引き渡しについて確認しておくことをお勧めします。

イーアールエフ翻訳のTrados対応について
イーアールエフ翻訳(株式会社イーアールエフ)では、Trados Studioを標準ツールとして使用しており、翻訳メモリおよび用語集の構築・管理に対応しています。

初回翻訳から翻訳メモリを構築し、2回目以降のマニュアル更新時にはメモリを参照したコスト削減料金でご対応します。また、10万語超の専門用語データベースを活用し、工業・製造分野の専門用語の一貫した管理も行っています。

マニュアル翻訳の外注をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。