最近、自動翻訳の機能がWeb上で普通に使えるような時代になってきました。10年くらい前にも既にWeb上の自動翻訳機能はありましたが、かなり、酷い状態でした。自動翻訳機でかけられた文章を直すにも、大元の日本語がどうだったのかが分からなくなる程であったため、非常に苦労する状態でした。日英、英日で言うと、今でこそ、簡単なメールの文章くらいなら自動翻訳にかけて、そのままネイティブの人に送っても、大概、意味は通じます。ただ、膨大なマニュアルをそのまま自動翻訳機にかけて、何もチェックせずに、相手に渡ってしまったらどうでしょうか。いくら、自動翻訳機能が向上したからと言っても、さすがに完全に正しく意味が伝わる保証はどこにもありません。また、そのような事をしている企業もおそらくないと思います。
専門的な内容を翻訳するとなると、その分野にある程度、精通している翻訳者が翻訳をする必要があります。また、気を付けないといけない点としては、使用する単語に気を付ける事だと思います。特に日本語から英語に翻訳する際、その分野で使用している専門用語に適切に翻訳しないと、読み手が「これはどういう意味だ。」と言う結末になってしまいます。例えば、要求をDemandと翻訳してしまった場合、実は、Requirementと言う単語を使わないといけなかったとすると、それだけで意味が通じなくなる事があります。
膨大なマニュアルなどの翻訳を行う際は、まず、専門用語のおさらいからしないといけません。さらにAbbreviation(略語)などがたくさん出て来る場合は、辞書にすら掲載されてない可能性が十分にあるため、そのあたりの情報もきっちり、事前に入手しておかなければなりません。
さらに言うと、完成して出来た時点で、依頼主もしくは、その類の文章を常に英語で読みなれている人にチェックしてもらう必要があります。その場合、やはり、ネイティブの人だったりする場合が多くなります。そこで、翻訳された英語や日本語の表現に違和感がある場合は、「ここの表現を少し変えて欲しい。」などのFeedbackを貰って、さらに修正を入れ、完成度を高めていく必要があります。そういうやり取りを一回だけではなく、複数回やっていく必要があります。特に国の機関に提出する文書などには、独特の言い回しみたいな物がたくさんあります。そういう所も受理側はきっちり見ているため、細心の注意が必要です。
そういう何重ものチェックが入り、翻訳する文書と、自動翻訳機で、5分で仕上げて、何もチェックせずにそのまま出すのでは、正確さの意味も含めて、品質に大きな差が生まれるのと、一つ間違えば、誤解を生んで大変な事になってしまう事もあります。
一方、今後、自動翻訳機の機能を向上して行くのだとすると、事前の設定が出来るようにしなければならないのではないかと思います。最低限、使用する単語、Abbreviationなどを事前に入力出来、欲を言えば、どこ向けに出す文書なのかも設定出来れば、ある程度、的確な自動翻訳が出来るようになるのではないかと思います。
大きな誤解を生むと言うのはちょっと大袈裟な話かもしれませんが、少なくとも、「これは、自動翻訳にかけてそのまま出したな。」と見抜かれて、結局、突き返されるのがオチなのかもしれません。