翻訳に潜むYes, Noのワナ

ブログ

ファーストフードのチェーン店で英語のメニューがあると分かると、「進んでいるなあ。」とか、「これでもう外国人も安心。」と、即座に感じてしまう所があります。日本人からすると、その英語に翻訳されたメニューを見る事はほとんどないと思うので、一般人として、その翻訳が適切かどうか評価をする機会はないと思います。通常の一個一個の料理の名称レベルであれば、問題は発生しないと思うのですが、Yes, Noの質問が出た時にトラブルが起こる可能性があります。その例が以下の通りです。

I’m 20 years old of age or more. I will not drive after drinking alcohol.
Yes or No

ファーストフードのチェーン店では、最近、ビールなどのアルコール飲料を提供している事もあり、飲酒をしないと言う事をお客さんに確認しないといけないのです。ただ、Yes or Noの質問形式にした際は、注意が必要です。上記の質問だと、Yesを選ぶと、最初の20歳以上かどうかについては、「はい。」になるのですが、2つ目の質問は、「飲酒運転をする。」と言う意味になってしまいます。当然、日本語の感覚だと、ここの質問は、1つ目であろうが、2つ目であろうが、「はい。」と答える事で、「20歳以上であり、飲酒運転もしません。」と言う確認になります。

実際、この場面に遭遇した外国人の中では、「どっちにすればよいのか分からず混乱した。」と言う意見が多かったそうです。正しい翻訳をすると言う事は、ただ単に文面を翻訳すると言う事だけでなく、こういったYes, Noの質問に対しても、正しく繋がるようにする事も含まれると思います。

では、どうすればよいか?と言うと、まず、簡単な修正方法としては、質問を二つに分ければ良いと思います。I’m 20 years old of age or more.と言う1個目の質問を出して、Yes, Noでどちらかを選ぶ。そして、Yesと答えれば、2つ目の質問に移行、Noと答えれば、そこでアルコール飲料は、注文出来ないと表示を出す。2つ目の質問では、Noであれば、アルコール飲料注文画面に移行、Yesであれば、注文出来ないと表示を出す。

もう一つの修正方法としては、2つ目の質問を肯定分にしてしまう事です。
I’m 20 year old of age or more. I assure that I avoid driving after drinking alcohol.これであれば、Yesと答える事によって、20歳以上であり、飲酒運転をしない事を約束する。と言う確認が出来ます。
実はこのYes, Noのワナは日常英会話でも多々、引っかかる人が続出しています。私も、学生の頃、「YesなのかNoなのかどっちだ?」と先生から怒られた苦い経験があります。「どっちだ?」と聞き返されると言う事は、直近で言っていた事と矛盾しているが故に聞かれているのですが、矛盾に気付いて、聞き返されるケースは、まだ、救いようがあって、そうではなく、意味が普通に通ってしまう場合は、大きな誤解を含んだまま、どんどん話が先に行ってしまいます。

文面であっても、会話であっても、Yes, Noの質問に対する答え方は、英語教育の初期の頃から、きっちり徹底しておきたいですね。
翻訳会社ERF