日本人にとっての隠れたリスク:非肥満MASLD

ブログ

あれ…酒好きのオジサンだけの話かと思っていたのだが… という人に知ってほしい内容です。

「肥満でないから大丈夫」と思っている方、日本人こそが脂肪肝、特に非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD、現在はMASLDとして知られています)に対して警戒する必要があります。なぜなら、日本人の約4人に1人がMASLDの発症・進展リスクを高める特定の遺伝子多型を持っており、これが肝癌発症率や肝臓関連イベント、さらには死亡リスクを高めているからです。

MASLDとは何か?:MASLDは、肥満、糖尿病、インスリン抵抗性などの代謝異常に関連して肝臓に脂肪が蓄積する病態を指します。これは単なる脂肪肝以上の問題であり、肝硬変や肝臓がんへと進行するリスクを含んでいます。

PNPLA3遺伝子とリスク:特に注目されるべきはPNPLA3遺伝子の一塩基多型です。この遺伝子はリパーゼ活性を促進し、脂質代謝に関与しています。日本人の一般人口の約20%がこの遺伝子多型を持っており、これがMASLDのリスクを高めています。

Lean MASLDの危険性:非肥満であっても、MASLDのリスクは侮れません。実際に、非肥満MASLD(Lean MASLD)と診断された人々は、肥満である患者よりも肝臓関連イベントの発症リスクが高いことが研究で明らかになっています。この事実は、体重だけが健康の指標ではないことを示しています。

生活習慣の改善がカギ:MASLDに対する特定の薬物治療は存在しないため、食事や運動による生活習慣の改善が治療の基本です。体重のわずかな減少でも肝機能の改善が見込まれ、健康的な食生活や定期的な運動が肝臓の健康を保つためには不可欠です。

まとめ:日本人は特にMASLDのリスクが高いという事実を自覚し、遺伝子の有無にかかわらず、健康な生活習慣を心がけることが重要です。食事と運動は、MASLDの予防及び進行の遅延に有効な手段となります。軽視せず、早期からの対策をとることが肝臓病のリスク管理には不可欠です。日々の小さな改善が、将来の大きな健康への投資となるのです。