アルツハイマー病の新治療薬「レカネマブ」:希望と懸念

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最近忘れ物が増えている年代としては、気になるところですね。
アルツハイマー病とは:アルツハイマー病は、認知症の主な原因とされ、全体の約7割を占めています。この疾患は、脳内にアミロイドβという物質が蓄積することにより進行します。

新治療薬「レカネマブ」の登場:2023年9月25日、エーザイとアメリカの製薬会社が共同で開発した「レカネマブ」という新薬が日本で正式に承認されました。この薬は、アミロイドβを除去する働きを持ち、大きな期待が寄せられています。

副作用の懸念:しかし、新薬には副作用の懸念もあります。もりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、レカネマブのような抗アミロイドβ薬の長期投与による脳体積減少の可能性についての研究が紹介されています。

研究の内容と結果:この研究では、PubMed、Embase、ClinicalTrials.govデータベースを用いて抗アミロイドβ薬の臨床試験を分析しました。分析の結果、薬の最高用量を用いた試験で、脳の特定領域(特に海馬、側脳室、全脳)における体積の変化が加速することが明らかになりました。

深刻な副作用:ARIAs  特に、ARIAs(アミロイド関連画像異常)を引き起こす抗体薬は、側脳室の拡大を加速させることが指摘されています。この現象は、側脳室体積とARIAsの頻度の間に強い相関関係があることからも裏付けられています。

脳健康への影響:これらの結果は、抗アミロイドβ療法が長期的な脳の健康を損なう可能性があることを示唆しています。特に、軽度の認知障害を持つ患者が、治療を受けない場合よりも約8ヶ月早くアルツハイマー型認知症の典型的な脳容積に進行する可能性があるとされています。

結論と今後の課題:新しい抗アミロイドβ療法は、アルツハイマー病の治療において画期的な可能性を持ちますが、副作用に関する懸念も深刻です。今後、これらの副作用とその長期的な影響についてのさらなる研究が必要であると結論付けられています。患者の治療選択において、これらのリスクを考慮することが重要です。