BBCのバーチャルバイスオーバー技術について

BBCのニュースと言うとイギリスのニュースですが、バーチャルボイスオーバーと言う技術を使って、日本語とロシア語のニュースを提供しているとの事です。私も初めて聞いた言葉ですが、名前の通り、仮想の物で大元の英語のニュースの原稿を元に日本語とロシア語のニュースをコンピューターの合成音声を元に作り上げると言う物です。
まずは、英語の原稿を自動翻訳機に掛けて、翻訳して、その後、自動翻訳に掛けられた文章に齟齬がないかをチェックし、必要に応じて記者が修正を加えるとの事です。そして、その文章を、機械音声で読み上げると言うやり方を取っているとの事です。
なぜ、日本語とロシア語が選択されたのかは分かりませんが、我々の話す言語が選ばれると言うのはある意味嬉しい事です。逆に言うとそれだけ需要があると言うことなのかもしれません。ここで重要なのが、自動翻訳機を掛けてそのまま機械音声で読み上げをしているのではなく、きっちりとBBCの記者が齟齬のないように修正を加えていると言う部分だと思います。自動翻訳の精度がたとえ向上したと言え、そのまま使えると言うレベルにはないという事だと思います。読み上げる音声については、コンピューターでの合成音声がゆえ、不自然な部分はあるものの、きっちり聞き取れるレベルではあるとの事です。
今までBBCのニュースが英語だけでしか聞けなかった時代から、合成音声ではあるものの、他言語で聞ける時代が来たと言う事になります。2016年4月まで、試験的に運用していると言う話ですが、好評であれば、実運用もあり得るのではないかと思います。
先にも述べた通り、やはり、重要なのが原稿を如何に正しく翻訳出来ているかと言う所だと思います。重大なニュースなどは、誤った翻訳により、間違った情報が伝わる事もあり得ます。通常の海外でのニュースは、日本のニュースで取り上げられるまでに1日、2日のずれが生じます。それは、英文の原本を元に翻訳をし、間違いがないかどいうか入念にチェックがなされてから放送されているからだと思います。
BBCも試験運用を設けたことと敢えて、日本語とロシア語を選んだ所に理由があるのではないかと思います。日本語もロシア語も英語のローマ字とは異なる字体を使用しており、文法的にも大きな違いがあります。敢えて、翻訳が難しい言語を選び、試験運用の中で問題がないかチェックしているのではないかと思います。
翻訳の手法は元来、翻訳家が原文を読んで、ゼロから翻訳していく方法を取っています。これから、速さを問われる時代になってくると、自動翻訳でまず一気に翻訳を行い、それを齟齬がないように一文一文修正していくやり方を取る人も出て来るのではないかと思います。このタイプの翻訳は人によって、どこまで直すかと言う部分に大きな差異が出て来るのではないかと思います。文章の言い回しが気に入らなければ、ほとんど書き換える事になりますし、通じればOKと言うレベルであれば、部分的に直すだけで終わりだと思います。
機会翻訳を使うのであればやはり、学習型の物でなければならないと思います。つまり、翻訳家が修正を掛ければ次の翻訳からその修正が反映されているなど、基本、翻訳家のスタイルに則り、機械は補助をするだけと言うのがベストだと思います。