米大統領の17分間のスピーチで三度にわたって使われた道徳(moral)と言う言葉

obama先週、伊勢志摩サミットの開催、前日、米・オバマ大統領と安倍首相との共同記者発表をテレビで観ていました。その中では、たくさんの通訳スタッフが関わっていたのだと思います。たとえ、プロとは言え、このような歴史的かつ重大な場で通訳をすると言うのは、かけがえのない出来事であると共にとてつもないプレッシャーを感じるのだと思います。伊勢志摩サミット前日の共同記者発表の通訳は、逐次通訳で行っていました。逐次通訳においては、話が長くなる場合、話のどこか区切りの良い所で一時、ストップする必要が出てきますが、見ていると、やはり、記者側の質問が長くなった時に、一度、区切りの良い所で中断していたのが分かりました。
一方、広島訪問時のスピーチでは、参加者は、Translation Deviceを片耳に着けているようでしたので、同時通訳で日本語に通訳されていたのだと察します。オバマ大統領のスピーチは、元々数分を予定していたようですが、実際には17分間に及ぶ長めのスピーチを行ったとの事です。インターネット上でスピーチの全文が英語で起こされていると共に日本語全訳も出ています。また、オバマ大統領の広島でのスピーチは、全米でも注目されており、生中継で放送されていたとの事です。オバマ大統領の広島でのスピーチの時、ニューヨークは朝の5時であったとの事ですが、米国でも聴いていた人はたくさんいたのだと思います。広島での滞在は、1時間だったとの事ですが、原爆資料館も視察されており、さらに地元の小中学生に自ら折った鶴も手渡しているとの事です。
オバマ大統領の17分間のスピーチでは、moral=道徳と言う言葉が3回出てきます。最初は、moral revolution, 2回目は、moral imagination, そして最後にmoral awakeningです。恐らく、この道徳と言う言葉を一番、強調したかったのだと察しますが、私には一番、印象的な言葉であると感じました。
1回目の道徳は、moral revolution =道徳的革命と訳すのが適切なのかどうかは分かりませんが、scientific revolution=科学的な革命と共に、人類の道徳的な革命も同様に必要であるとの話をされています。The scientific revolution that led to the splitting of an atom requires a moral revolution as well. また、requiresを現在形にしている部分も大きな意味を持っていると思います。

2回目の道徳は、moral imagination=道徳的(道義的な)想像力です。Fuels our moral imaginationのfuelsは糧となると言う日本語が適しているのだと思います。
It fuels our moral imagination, it allows us to change.

最後の道徳は、moral awakening=道徳的な目覚めです。
That is a future we can choose, a future in which Hiroshima and Nagasaki are known not as the dawn of atomic warfare, but as the start of our own moral awakening.
さらに、この道徳的な目覚めをスピーチの一番、最後に持って来られています。ここの最後の部分のスピーチは、ニュースでも度々、放映されており、人々にとって、非常に心に残るメッセージだと思います。
オバマ大統領のスピーチでは、最初の人類についても少し、触れられていますが、これまでの人類史の中で確かに科学的なRevolutionは、たくさんあったのだと思います。ただ、それと同じようなレベルで人間は道徳的な革命を起こしてきたかと言うと決して、そうではないのだと思います。大統領のスピーチは、決して、日本国に対してだけのスピーチではなく、全世界に向けてのスピーチであったのだと強く感じました。

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